2012年09月08日
フチビィ 01_琉球の貴重な山菜オオタニワタリ
美しい海だけでなく、亜熱帯の森も豊かに広がる沖縄。
特に山菜の少ない八重山諸島で、島の山菜として重宝されているのが。
八重山の言葉でフチビィ、和名でオオタニワタリと呼ばれるシダ植物です。
葉先のクルリと丸まった新芽の部分をさっと湯がいて
酢味噌等で味付けし、コリコリとした独特の触感を楽しんだり、
炒め物、煮物のあしらいなどにも使います。
ビタミンA、ビタミンK、カルシウムを含み、
解毒作用があり、利尿作用、高血圧や糖尿病の予防にも役立つとされています。
和名「大谷渡り(オオタニワタリ)」は、この植物が谷を渡るように分布することから、
英名「Spleenwort」は、Splen(脾臓)の病気を癒すとされたシダの名に、
由来して名づけられました。
ところで、伊勢神宮には重要とされる3つの祭りがあります。
6月の月次祭(つきなみさい)
9月の神嘗祭(かんなめさい)
12月の月次祭(つきなみさい)です。
これらの祭には、神饌を必ず
御綱柏(古名:ミツナガシハ)という葉の上に供えることになっていました。
この、ミツナガシハ(古名)は
アカメガシワという植物であるという説が有力だったのですが、
明治~昭和初期に活躍した植物学者の白井光太郎が
アカメガシワは落葉樹であり、12月の月次祭には使用できないことから、
オオタニワタリこそ、ミツナガシハであったのでは。という説を唱えました。
八重山でも、かつて神事に用いられたという記録があります。
南国でバナナの皮を食器や調理の道具に使うように、
シダ特有の大きさや強い構造が、料理を盛るのに重宝され、食用としても珍重され、
沖縄の神聖な食事や祀りごとに用いられたのでは、と考えられます。
フィラムシルー(沖縄本島) 、 サムムス(宮古) 、 フチィビィ(八重山)
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和名:オオタニワタリ(大谷渡)、ミツナガシ(御綱柏)、サワワタリ(沢渡)、タニワタシ(谷渡)
英名:Speenwort
学名:Asplenium antiquum Makino
分類:シダ植物 チャセンシダ科
生息地:沖縄・四国・紀伊半島・伊豆諸島
開花時期:5月~。
常緑性。単葉で広針形。葉の長さは大きいもので1m。多数の葉を放射状に出す。全緑で、基部はくさび形でごく短い葉。革質で無毛。
谷間の湿った場所で樹幹や岩上に着生する。
葉の裏にある胞子のう群(ソーラス)が中肋(葉の中央の軸)から葉縁近くまで伸びる。
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出典:
◎おきなわ伝統的農産物データベース
http://www.okireci.net/dentou/index.php?dispatch=products.view&product_id=5
◎石垣島海辺COM
http://www.ishigakijimaumibe.com/000top/003-asobi/002-jikyu/006j.html
◎三重県立博物館
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/haku/osusume/158ootaniwatari.htm
◎GKZ 植物事典
http://www.t-webcity.com/~plantdan/sida/syousai/agyou/ootaniwatari.html
◎別府街角ウォッチング
http://www.ctb.ne.jp/~imeirou/soumoku/k/kaasiwa.html
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Posted by puremcolumn at 12:17│Comments(0)
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