2013年06月22日
イジュ_02 樹皮を使って魚(イユ)獲り
昔から世界各地で行われた漁法のひとつに
魚毒法(毒流し法)があります。(※注1)
これは、毒物を海川へ流して、
魚が浮かびあがったところを採るというもの。
イジュは、この漁法の魚毒として
用いられた植物です。琉球では
他にもエゴノキ、チョウチクトウ、ユーゴなどの
植物が使われたそうですが、注目すべきは
琉球の言葉で、魚の事を「イユ」ということ。
「イジュ」の名前はこの「イユ」に
由来しているとも言われています。
魚を獲る手段として、イジュが大いに
役立ってきたのだろうと推測できます。
イジュの樹皮には「サポニン」という成分が含まれており、
くだいて粉とし撒き、浮いてきた魚を獲って食べました。
微毒であるため、人が中毒するほどの影響は出なかったようです。
サポニンには溶血作用があり、
抗がん作用、コレステロール低下作用、免疫賦活作用
などの健康増進作用でも近年注目されています。
真っ白な花と甘い香りが五感を刺激し、
心のぬちすぐいとして癒してくれるイジュ。
あってもなくてもどうでもいいことの例えに
「毒にも薬にもならない」なんて言葉がありますが、
イジュは「毒にも薬にもなる」
沖縄の初夏になくてはならない植物のようです。
(※注1)
魚毒法(毒流し法)は、現在日本では
「水産資源保護法第6条」により禁止されています。
(調査研究のため農林水産大臣の許可を得た場合を除く)
科学薬品が使われる以前には、
植物から採取した自然の魚毒を用いており、
昔の人々は経験と知恵で毒の性質を熟知し、
必要かつ安全な量や方法を考え使っていたことでしょう。
イジュ、ンジュ、イズ、インジイナキ
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和名:イジュ(伊集)、スキマ
英名:-
学名:Schima liukiuensis Nakai
科:ツバキ科 ヒメツバキ属
生息地:奄美列島~沖縄諸島。
沖縄の固有種であるが、母種はヒマラヤからマレーシアに分布。
開花時期:5月頃
常緑高木。葉は長楕円形で先が尖っている。光沢がある。
5枚の白い花弁で、花冠は直径4~5㎝。
10月頃に2㎝果実が成熟し、熟すと五裂する。
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出典
◎「薬草カラー図鑑」伊澤一男著
◎「 沖縄の樹木 」 (新星図書出版)
新里孝和 監修 平良喜代志 著
◎「沖縄産魚毒植物成分の研究〔1〕
樹皮サボニンの魚毒作用並びに溶血作用AN00250650」
琉球大学文理学部 森巌著
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/123456789/22209/1/NO4P050.pdf
◎平井先生の樹木と木材研究
http://www.hiraiwood.com/hirai16.html
◎健康マトリックス
http://kenko.it-lab.com/info.php/56/
◎健康長寿ネット
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000500/hpg000000407.htm
◎平ゆきオフィシャルサイト
http://www.tairayuki.com/
写真提供
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